ポータルサイト最大手ヤフーの、それもトップページにキビャックの文字が踊る日が来るとは夢にも思いませんでした。

『Lonely Planet Greenland & The Arctic』(Lonely Planet、2005年)という旅行ガイド本がキビヤックについて触れてくれています。
North Greenlanders once survived by eating dovekies (penguin-like small birds).Stuffed in hollowed-out seal carcasses and left to rot,they form kivioq,Greenland's most unappetising speciality.It was food poisoning from bad kivioq that killed explorer Knud Rasmussen.Traditional egg-collecting has decimated bird cliffs and is now much less common.かつて北部グリーンランド人は、ヒメウミスズメ食により生き延びてきた。
くり抜いたアザラシの死体に詰め込んで腐らせたキビヤックは、グリーンランドのもっとも食欲をそそらない料理である。
探検家クヌート・ラスムッセンの死因は、腐ったキビヤックによる食中毒である。
伝統的な卵収集は繁殖地の減少を招き、今やあまり行われていない。
トラベルガイドとはいうものの、うまいキビヤを食わせる地元レストランの掲載はありませんでした。
本日は家庭菜園をメインに扱っていらっしゃるウェブサイト「キャンティ・ファームの菜園日記」さんのご紹介になります。
なんと、この冬キビヤックを召し上がられたそうです。
貴重なキビア体験を惜し気もなく公開してくださっていますので、もうこれは見逃す手はありませんよ!

今日のご紹介は、グリーンランドの左派政党「Inuit Ataqatigiit(Inuit Community)」さんのページになります。
キビャックを食べている様子を写真で紹介してくださっていますので是非ご覧下さい。
キビャックは現地ではグリーンランド(Kalaallisut)語で"kivigaq"と綴るようですね。
さすがはグリーンランドの政党です。

同じくグリーンランド(Kalaallisut)語で"Appaliarsuk"と綴るアッパリアス(キビアの原料)は、ヒメウミスズメ(学名:Alle alle、英名:Dovekie又はLittle Auk)に該当するようです(動物名訳語対照表
より)。
「AVANGNAQ」の山崎さんが、またまたキビャックのレポートをしてくださっています。
山崎さん、大好物なだけあって本当に嬉しそうに召し上がっておられます。いいですね…。
羽毛をひん毟っている写真を拝見していますと、『エスキモーになった日本人』で大島さんが言っていた
「左手で頭部をつまんで、右手で羽根をむしっていく。意外にするする抜けるものだ。赤っぽい鳥肌がむき出しになる。
」
という言葉が思い出されますね。
今シーズンは海氷が十分に張って犬ぞり遠征が成功するとよいですね。
『食材図典2』(小学館、2001年)という本にキビャックに関する記述がみられますのでご紹介させてください。
(中略)肉や内臓を食べて空洞になったアザラシの腹の中に、アパリアス(コウミスズメ)を羽根ごとそのままの形で何十羽と詰め込み、大きな穴に埋めて上から土をかぶせ、2年間放置して発酵させる。(中略)北極圏では、野菜も果物もできないため、ビタミン類の摂取は生肉などからとれるだけとされてきたが、このキビャックには、発酵微生物の生成した各種ビタミンが豊富に含まれ、貴重な栄養源となっている。
「原料にされるアパリアス」としてヒメウミスズメの写真が掲載されています。

台湾からのアクセスが多くありましたのでビックリしてリサーチしたところ、アニメ版『もやしもん』が現地で放映されていたようです。
『もやしもん』はキビャックの啓蒙に多大なる役割を果たしているようです。
非常に悦ばしいことです。

『もやしもん』という漫画がアニメ化されてキビャックも登場したそうです。
迂闊にも見逃してしまいました。
悔やんでも悔やみきれません。
津原泰水氏執筆の『フルーツ白玉』(『小説すばる2006年10月号』集英社、2006年)によりますと、キビヤックの原料となるアッパリアスは一度茹でてから漬け込まれるケースもあるようです。
冒険家植村直己の好物だったというこの珍味を念のため解説すれば、肉と内臓と皮だけにした海豹に、海燕の一種であるアッパリアスを殺してそのまま、あるいは下茹でしてから詰め込む。大きな鳥ではない。かるく百羽は入る。皮を縫い合わせて密封する。アッパリアス入りの強靭な海豹袋が完成する。これがキビャックだ。
中略・・・地面に埋めて重たい石で覆う。積み石の目的は二つである。一つは意外と暖かな夏場の熱を効率よく地中に溜め込むこと、もう一つは北極熊による横取りを防ぐこと。
中略・・・その臭気たるや、くさやの干物が芳香剤に感じられるほどだといわれる。
一晩冷やした「生」アッパリアスを漬け込むものとばかり思っていたのですが、調べなおす必要がありそうです。
「Wetdryvac」さんの「Wetdryvac Cooking(PDFファイル)」という記事によりますと、キビャックはハーブ系香辛料の代用となっているようです。
"Modified, Completely Legal Giviak"より
私の知る限り、伝統的なキビアは以下の方法で作られる。まず太ったアザラシを捕まえる。
喉を切る道具で喉元を切り(途中でアザラシを殴ってはならない。重要。)、できた開口部からアザラシ全身を引っ張り出す。
イヌイットがアザラシのはらわたをどう処理するのか定かでないが、のちにとって置くか犬にやるかするのだろうと私は思っていた。つぎに霞網か類似の補鳥道具を掲げて、小さな鳥をどっさり獲る。
「どっさり」とはアザラシ一杯分とも言えるが、アザラシによって量は変わるので余分に獲っておくとよい。
少なくとも満杯のキビア分は欲しいところだ。全過程を通じてアザラシの脂肪には手をつけずに残しておく。
極北の荒野を駆け回る犬たちも、この中空シェルの上からは噛むことができない。
アザラシ開口部から出来るだけたくさんの鳥をぎっしり詰める。
キビアが発明された頃のイヌットについて私はほとんど何も知らないが、彼らはディルなどの香辛料に不足していたのではないだろうか。
香辛料のような風味の多くはアザラシと鳥によってもたらされていたのだろう。岩を積み重ねた下に鳥詰めアザラシを置き、肉食動物や犬やその他北の大地に生きる動物に食われないようにする。
またハスキー犬の小便で汚れた雪の中にMr.アザラシを埋めてしまわぬよう気をつけること。だいぶしばらくの後(6ヶ月が目安であろう)、石の下からMr.アザラシを引っ張り出す。
理想的にはこの時点で、アザラシの脂肪が鳥に浸透し、肉を程よい噛み心地にしてくれている。
キビャックの豊かな風味はとても貴重な存在だったようですね。
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| - | - | - | - | - | - | 1 |
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
| 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
| 30 | - | - | - | - | - | - |