さて、前々回みましたようにキビャックにビックリしちゃった大島さんですが、
案の定、めくるめくキビャックの世界に引き寄せられていきます。
キビヤも、植村さんの言ったとおり、二度三度と口にするたび好きになり、ついには大好物といわざるを得ないほど味をしめてしまった。
本当に食わず嫌いとは、もったいない事です。
そして、食べるに飽き足らずキビヤの自家製に乗り出すのです。
キビヤは祝いごとに欠かせないご馳走だ。
結婚式、誕生日、村中集まってキビヤに舌鼓を打つ。
造り手によってそれぞれ味が異なるのもおもしろい。私も(中略)しだいに自分の好みが出てあれこれ試行錯誤を重ね、いまでは人に注文されるくらい上手になった。
『うまいキビヤを食いたい』というハングリー精神(?)のたまものであろうか。アザラシ十頭分も造ったときは、翌年アッパリアスがやってくる頃までもつ。
身近に旨いものをしまってあるということは、やはり気分がいいものだ。
もう大島さんにしてみれば、われわれ日本人がお漬け物作るのと同じことなんでしょうね。
しかし、10頭とは随分たくさん造るものですね。
それでは、大島流レシピを教えてもらいましょう。
斜面の岩陰に身をひそめ、斜面すれすれに飛んでくるやつを、長い柄のついたタモ網でしゃくるようにして捕らえる(中略)野球のバッターが球筋を読むようなものだ。(中略)私の記録は一晩九百数十羽。(中略)
捕らえた鳥はすばやく指で心臓をしめて、必ず岩陰にしまっておく。
日に当たると、…肉が腐ってしまうからだ。…温かいまま袋に詰めておいたりすると、せっかくの新鮮な内臓が溶けてしまう。(中略)獲ったアッパリアスを一晩冷やし、肉をくりぬいたアザラシの生皮の中にかたく詰め込み、皮を縫い合わせて発酵させる(中略)大きなアザラシだと一頭の皮に七百羽、小ぶりのアザラシでも数百羽詰めこむことができる。
縫い目には日干しにしたアザラシの脂肪(プヤ)を塗っておくと、ハエが寄らなくていい。
そうでないと中でウジがわいたりすることになる。それでも食べられることは食べられるが、見た目がワルイ。
私は丹念にプヤを塗る。それから地面に小石をしき、鳥の詰まったアザラシを仰向けに乗せ、空気を押し出すために真上から大きな石で押さえつけ、さらに周りを石で覆う。
日に当てないためと、キツネなどに食われないためである。
石が少ないとどうしても内部が温まりすぎるので、私は念入りに二重、三重に石を積んでいる。ふつう二ヶ月くらいでいい具合に発酵する。温度が高すぎても低すぎてもうまくできない。暑い夏、寒い冬、年によりその加減がむずかしい。」
『エスキモーになった日本人』より
いやー、キビャックは見かけによらず繊細な食べものなんですね。
本書で非常に参考になった点をいくつか挙げるならば、
といった点が興味深いですね。
なお、
「ウジ発生防止のために"プヤ"を塗る」については、
こちらのサイトにも同様の言及がみられます。
キビャック、キビヤとも言われる、イヌイットの保存食。シュールストロミング、ホンオフェ、クサヤと並び、世界四大臭い食べ物の一角を担う。探検家の植村直己がはまったと言われる ... 続きを読む
初めまして。
『もやしもん』と言うコミックのファンブログを運営しているLINTSと申します。
キビヤックを調べて、こちらにたどり着きました。
いろいろ参考にさせて頂きました。ありがとうございます。
TB貼らせていただいたのですが、文字化けしてしまったようで…申し訳ありません。
はじめましてLINTSさん。
このような所に来てくだすって・・・有難うございます!
『もやしもん』という漫画、面白そうですね。
とてもニッチな世界を描いてるようで。
恥ずかしながらわたしは、まだ拝見していないのですが、
キビャックも出ているとかいないとか!!
いやー、さっそく読んでみたいと思います。
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